螢子のクトゥルフ神話要素
■ 前置き
『蛍子』のレビューの前に、これからプレイする人に言っておきます。
公式HPを見てはいけません。
そこに掲載されている物語およびキャラ紹介を読むと、作品の面白さが確実に減ります。ネタバレ──というか、他の作品なら隠してもいい情報があからさまに書かれています。
また、かなりグロ風味です。
首飛びまくりです。死体描写ありまくりです。
そこらに耐性のある方は大丈夫です。(この記事自体に、グロイラストはありません)
■ システム関連
かなり悪いです。
まず、オートがありません。
つぎに、スキップがかなり使いづらいです。
右クリックから環境設定に行き、そこでメッセージの「メッセージ表示速度」として選ぶことになります。
まあ、Ctrlキーを押しっぱなしにすることでもスキップはできるのですが、未読、既読の区別がありませんから、読んでいないところも瞬時に飛ばされてしまいます。
履歴を読むのにも一苦労です。
▲ボタンを押せば、一メッセージずつ戻るのですが、読み終わって新しいテキストを読みたい場合には、▼ボタンを押して、現在の位置にまで戻ってこなければなりません。
この二つのシステムの悪さのおかげで、相当読み飛ばしたと思います。
■ クトゥルー神話要素
構図としてはきわめてオーソドックスです。
蛍子の記憶を調べるために乗り込んだのは、どこか寂れた妖しげな雰囲気の島。そこで起こる連続猟奇殺人事件。
真相は如何に……!?
──という訳なのですが、クトゥルフ神話関連だとブログで紹介するだけで、本当はネタバレなんですよね……。(ですが、このブログにくる人はクトゥルー神話作品を探しに来ていると割り切ることにします)
■ 音楽モードのタイトルに!
「おおっ」と思ったのは、音楽鑑賞に登場する曲名です。
文字は小さいですが、ご覧ください。
深きもの、永劫の探求、時間からの影、無貌の神、などなど。
クトゥルフ神話要素から取られた曲名がつけられています。
■ 神話要素の使われ方
以下、プレイをしないけど、クトゥルー神話要素がどういう風に使われているかを知りたい、という方だけごらんください。
↓ (白黒反転してください)
まず、バックグラウンドに新しい支配者を呼び込みたい「天戸島」の住民と、それを阻止する現支配者の手先の巫女たちとの対立、という構図があります。
住民側には、「香澄」=「ニャルラトテップ」がつき、「杵築称津奴」を祭主として旧支配者(影からするとクトゥルー)を復活させるため、扉を開けようとします。
扉は、「螢子」。
鍵は、儀式を踏んだ上でイクこと(?)。
なお、住民側と巫女側、両方とも旧支配者の眷属です。
巫女さんの正体を知るルートに入ることがあるのですが、巫女さんたちの正体画像を見るとうああああああああとなります(笑)
かわいい巫女さんたちが攻略対象! と思わせておいて、巫女さんたちの中身は人間外生物。こんなのとえっちしちゃったの……という感じです。
シナリオの概略を一言でまとめると、旧支配者たちの眷属が、自分の主を復活させるために戦いを始めようとしている。そのさなか、復活に必要な少女がその土地に帰ってくる。その島に主人公も行き、両者の戦いに巻き込まれる──というわけです。
なお、「香澄」=「ニャルラトテップ」の造詣はいい感じでした。
ニャルさまらしい「退廃的な態度」と「あきらめ具合」が絶妙です。
旧支配者を復活させる行動理由が、「退屈だから」。
そのもくろみを阻止されてもそれほど怒った風ではなく、やりたいことを邪魔されたので多少気分が悪いという程度。
主人公を襲おうとしても、旧支配者の刀を持っているのを見て、すぐに「降参」。あくまでも遊びで世界を混乱させているだけであり、本当の戦いになって命のかけるのはまっぴらという感じ。
そのときの会話を抜き出すと、こんな感じに。
【香澄】 「ちょっと、おイタがすぎるんじゃなくて?」
【香澄】 「困った子達ね。今までの苦労が台無しじゃない……」
【主人公】 「どういう事だ?」
【香澄】 「んー。あんまりにも今のままじゃ退屈だったから、がんばったのに」
【主人公】 「退屈?それでこんな事を?」
【香澄】 「まぁ……君達が理解できないのも無理はないけどね……」
【香澄】 「折角、行方不明だった復活の扉がみつかったのになぁ」
【主人公】 「香澄……どいてもらおうか?」
【香澄】 「んー考えちゃうな。このままみんなで焼死ってのはどう?」
【主人公】 「……いい加減にしろよ」
【香澄】 「あら……その刀は……あの巫女の……」
【主人公】 「そうだ……純子の刀だ」
【香澄】 「まぁ、そう。じゃあ、降参」
【主人公】 「え?」
【香澄】 「そんな支配者の武器相手に戦うなんて、私もキツイですから。降参」
永遠の生命をもっているがゆえに、あらゆるものをどうでもいいと思っていると感じ、それでも倦怠感から楽しいことを探して人間にいたずらをはじめ、でもできないとわかったらさくっとあきらめるという、なかなかいい性格のニャルさまです。
(反転終了)
■ まとめ
クトゥルフ神話の使い方はオーソドックスですが、かなり人を選ぶ作品だと思いますので、コアなクトゥルー神話ヲタさんのみ手を出したほうがいいと思います。
特に、グロ耐性の無い方は手を出してはいけませぬ。
個人的には、主人公の狂気暴走シーンが面白かったです。
・クトゥルー神話濃度:濃口