終末少女幻想アリスマチックのクトゥルフ神話要素
■ 内容
『黒の断章』『斬魔大聖デモンベイン』に比するほどクトゥルー神話ネタがつまった18禁ゲームです。
ルート的には「小夜音」「伊織」「冬芽」の三名がガチガチのクトゥルー神話ルートです。(「六花」と「白衣&黒衣」はあまり関係がなかった記憶があります)
■ クトゥルフ神話用語の抜き出し
いくつかネタバレぎりぎりのラインで一部だけ抜き出してみます。
おそらく、このブログに訪れるようなクトゥルフ神話マニアさんたちは、以下の用語を見て大興奮していただけるかと(笑)
なお、本編には、これら以外にも沢山のクトゥルー神話イベントや台詞があります。
【小夜音】
「水逆谷【みさかだに】大学…と読むそうです。上越の方にある宗教系私大で、ここの理事の一人として疋田泳堂博士の名前がありました」
【小夜音】
「『あなたの推測通り、このデータには魔術レベルに於ける変換が行われており、その研究内容に関して、おそらくは古代冥王星に於いて鍛造されたと云われている未知の金属を用いた…』なんですの? これは」
【圭】
「『深海に仕える者』【アビッサル】というのはね、とある邪教集団の信徒を指す言葉です……水蛇の王とやら云う邪神を奉っているそうです」
【伊織】
「こう云うのはどうだろう…先住種族には、肉体的に高度な『次元間を渡航する能力』が備わっていた」
【小夜音】
「またこの年、最初の散花蝕が…当時は多重次元災害と呼ばれていたのですが──発生しました。アメリカ合衆国マサチューセッツ州、エセックス郡のセイラムという街でした」
【小夜音】
「ええと…九頭竜信仰のことでしょうか? 水の竜神を祀るものですが」
【女】
「……見つけたわ。あなた達が『銀の回路の鍵』なのね?」
【?】
「『千の貌持つ姿、総て一の我なり…一の我、千の貌持つものなり……』」(※1)
目の見えない私が…いいえ、もし目が見えていたら、恐らく目が潰れてしまったに違いありません…そう思わせるに充分な「感覚」。違和感などという言葉では云い表せない、壮絶な違和。
きっともし見ることがあるとすれば、まるで異次元の色彩としか形容できないような、そんな風景が拡がっていることでしょう。
※1 ニャル様はホント何処にでも現れますね……(笑)
■ ライターの嵩夜あやさん
ふと気になって嵩夜あやさんのHPを覗くと、“ミスカトニック大学附属女子高等学校寄宿寮”なんて小説作品があるじゃないですか! クトゥルフネタで、百合ですか!(未完っぽいですが……)
ここまでお好きなら、そりゃあ「終末少女幻想アリスマチック」みたいな作品が生まれますよ……!
(ちなみに、百合の方では「処女はお姉さまに恋してる」を書かれています)
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■ まとめ
この作品、見事なまでにクトゥルー神話系の作品なんですよ!
ライターさんのクトゥルー神話造詣がもの凄く、単純な神話用語をそのまま使わずに、いくつものオリジナルな訳を創り出しています。『深海に仕える者【アビッサル】』や『ダゴン“秘儀”教団』なんてすばらしすぎます! 作品のために用語を調べ、「The Esoteric Order of Dagon」をご自身で訳した結果だと推測できますしね!
ともあれ、無茶苦茶オススメです!
ネタバレになるので言えませんが、ネット上の情報が何処で漏れたとか、アザトースの解釈の仕方とか、神話マニアが感涙できる小ネタ、設定、シチュエーションが満載なのです! ホントずっとニヤニヤしながらクトゥルフ神話用語を追いかけられる作品。ここまで用語の解釈が楽しいのは、他に例がないくらい。