3daysのクトゥルフ神話要素
■ 内容&クトゥルー神話要素
伝奇サスペンスの名品です。
序盤から中盤にかけて神話要素はほとんど出てきません。
リンク先の部屋の背景画像のように、神話要素ネタがこそっとあるほかは、ほとんどありません。(見て気付きます? タペストリーにルルイエが)
ところが中盤以降、神話ネタが結構でてきます。
物語で重要な役割を果たす魔術道具の一つ、『冥王の鍵』と呼ばれる人皮の本こそ『ネクロノミコン』の写本!
リンク先の画像『カイロスの時計』の裏には『魔道書ネクロノミコン』の表紙に描かれた迷路型五芒星の印が!(両リンクを比べてみてください)
主人公や敵が唱える呪文に、「イェイェ シュブ・ニグラス 千の仔を孕みし森の黒山羊……!」や「星辰の果て、深淵の底より来たれ、盲の従者!」という感じで、どこかで見た神話用語が使われています。
あと音楽モードで見れる曲タイトルに『深淵たる海の底』というのがあります。
ド直球のクトゥルフ神話を期待すると肩透かしになるかもしれませんが、ホラーサスペンス&伝奇要素の中にクトゥルー神話をしっかりと組み込ませている傑作。
トータルとしてはすごくオススメですので、伝奇好きの方は是非。
(ただし、後半のグラフィックのヤバさとシナリオの急さは駄目な感じで有名ですので、そこらは若干割り引きながらお楽しみください)
ホラー部分はしっかり怖く、猟奇要素もあり、実に余韻があるラスト。(猟奇シーンはこんなのとか、こんなのとか、もっと酷いのとか怖いのとか。苦手な人はリンク先の画像、注意ですが……)
神話要素を除いても実にいい感じのシナリオです。
ホラーサスペンスに興味がある人は是非。
・クトゥルー神話濃度:濃口
雷光の退魔師ナナホのクトゥルフ神話要素
■ 内容&クトゥルー神話要素
ずばり、ひと言で言うと濃厚なエロ+伝奇作品。
退魔能力を持った凄い乳のヒロインたちが化け物退治をすることでシナリオが進みます。
ジャンルの謳い文句が凄いです。
実に抜きゲーらしい抜きゲー。イベント絵のほぼ全てがエロ絡みなのです。
お陰でスクリーンショットの選定に困ること困ること……。
なら立ち絵を使えばいいじゃない、と思われるかもしれないけれど、その立ち絵ですらヤバいレベルなのよ見てよこの立ち絵おっぱいどーん。
クトゥルー神話要素っぽいものは、魚人、綿津見(海神)、門、鍵、這い寄る混沌などで、設定の根幹にクトゥルー神話世界があるという感じです。
ちなみにこの作品、以前紹介させていただいた『妖魔受胎』と世界が同じだと思われます。
その証拠と言ってはなんですが、こちらのHPを御覧ください。
クトゥルー神話系同人ゲームとして開発されていた『赤いイバラ』のHPなのですが、ここに『妖魔受胎』と『雷光の退魔師ナナホ』に登場するキャラとデザインが同じキャラが居ます。
おそらく……ですが、同人ゲーム『赤いバラ』企画→アニメ計画→商業ゲーム企画という風に、状況にあわせて計画が推移したんだと思います。
ともあれ、低価格系ソフトでエロい触手もの+クトゥルー神話を求めるなら。
・クトゥルー神話濃度:薄口
腐色の瞳のクトゥルフ神話要素
よーやく手にいれましたですぜ、『腐色の瞳』!
検索で引っかかって存在だけは知っていたのだけれど、先日ようやく中古の同人ゲーム販売店で発見。
すぐさま回収し、プレイしました。
以下、簡単ですが紹介を。
……なお。スクリーンショットに四角い ■ ←こんな感じのノイズっぽいものが入ってますが、文章を読みやすくするために最初から入っているメッセージレイヤー代わりのようです。
Win95専用作品なので、技術的に仕方ない部分だったのかもですね。
武甕槌神(タケミカヅチ)や経津主神(フツヌシ)、天津甕星(アマツミカボシ)といった日本神話がベースになっています。
そこに、クトゥルー神話存在が1キャラ。
他にも少々クトゥルー神話要素が登場する、という感じです。
ゲームをプレイし、かつ添付のマニュアルを総合して考えると、フルート持ちの金髪女性キャラが「外なる神の従者=ニャルラトテップ」で間違いないようです。
ニャルは主人公の選択に影響を与えている模様。
『終ノ空』『斬魔大聖デモンベイン』などと続く、ニャル様を女体化の国産ゲームはこれが最初なのかもしれません。(単純な擬人化……というか、人間形態でいうなら、そもそもニャル様は『ナイアルラトホテップ』や『未知なるカダスに夢を求めて』などで人間の姿で登場しましたし)
ニャル様以外のクトゥルー神話要素は少しだけです。
旧支配者という単語。
『そは永久に横たわる死者にあらねど』の句。
うにょうにょ触手くんが少女を襲うという『ダニッチの怪』を意識しただろうイベントくらいでしょうか。
『腐食の瞳』をプレイしたい! と思っても中々見つからないと思われます。
存在を知り、探し始めてから出会えるまで一年半かかりましたから……。(東京なら出回っている数が多いと思われるので、サクっと手に入る可能性もあります。ちなみにプレイステーション版もあるらしく、コンシューマで発売されたエロ同人ゲームとしても話題になったようですから、そちら方面から探すのも手かもです)
Monsters of the Sea 2のクトゥルー神話要素
■ 内容
Monsters of the Seaの第二弾です。
ものの見事なまでのエロ同人です。
なんというか、スクリーンショットのエロ鳥の顔を見れば、内容は自ずから解ると思います。ハイ。
巨鳥や犬や魚人と色々な少女が生まれたままの姿で一生懸命押し合いをしています。
■ クトゥルー神話要素 & まとめ
今回のクトゥルフ神話用語は一箇所のみ。
リルイエなるワードだけです。
無料の体験版がこちらからダウンロードできます。
・クトゥルー神話濃度:薄口
果てしなく青い、この空の下で…。のクトゥルフ神話要素
■ 概要
シナリオは春夏秋冬の四つのパートに分かれています。
春と夏で攻略キャラへのルートを確定させ、秋でバッドかグッドかを判別。冬でその結果を示す、というパターンで構成されています。
最初は田舎の町の青春物語に見えるのですが……、時折挿入されるヤマノカミの伝承から伝奇を中心とした物語に変貌。ヤマノカミが山から下りてくるとされる「月食の吹雪く夜」にある破局が起こります。
春、夏での幸せな日常が、秋で転換し、冬で結末を迎えるという風に典型的な起承転結構成になっています。各キャラのルートはバッドとグッドの二つなのですが……そのバッドの鬱具合がかなりキテると評判です。まあ、とにかく面白い!
■ 評価
クトゥルー神話を抜きしても名作といわれています。(ただし、一般的なセールスにはつながらなかったので、「埋もれてしまった名作扱い」ですが)
シナリオ途中少女達が陥る不幸が実に上手く表現されています。
検索していると聖地巡礼されている方々を何名か見つけましたので紹介させていただきます。
モデルスポットMAP〜ゲームの舞台へ行ってみよう!〜聖地巡礼〜
風鈴堂ブログ健足会その4(松倉商店、通学路、戒田邸、御杖神社): 風鈴堂ブログ
■ クトゥルフ神話との関連性
クトゥルフ神話用語は一言も登場しません。
にもかかわらず、私達が「クトゥルー神話伝奇」として想像しそうなシナリオ、伝奇を上手く表現しています。(実際、公式ビジュアルブックではラヴクラフトからインスパイアを受けたという内容が書かれています)
たとえば……ですが、ODW【オド】とYzz=HwTrrra【イズ=ホウトリャ】。
クトゥルー神話には、このような神々は登場しませんが、いかにもな存在であり、ネーミングです。
『第三界』と題された書物には、知られざるヤマノカミ伝承が書かれていますし、シュールレアリズムの画家――八車斎臥の描く絵はグロテスクな化け物――!
『第三界』は『ネクロノミコン』や『妖蛆の秘密』といった魔道書にヒントを得たのでしょうし、八車斎臥はリチャード・アプトン・ピックマンが元ネタだと思います。
その他、いくつかクトゥルー神話っぽいものがあるのですが……。
そこらはプレイしてのお楽しみです。
もう少し詳細なレビューと、クトゥルー神話内容を見てみたい方はこちらのサイトの記事果てしなく青い、この空の下でふたぐんに詳しく書かれています。
なお、旧版(ダウンロード販売)と完全版があるのですが、オススメは完全版。
旧版は中古価格が物凄く安いのですが、機種によってはフォントの関係でXPでも表示が怪しくなる場合が。完全版のセールスポイントは声。旧版では一切なかった声がつけられ、フルボイスになっております。
終末少女幻想アリスマチックのクトゥルフ神話要素
■ 内容
『黒の断章』『斬魔大聖デモンベイン』に比するほどクトゥルー神話ネタがつまった18禁ゲームです。
ルート的には「小夜音」「伊織」「冬芽」の三名がガチガチのクトゥルー神話ルートです。(「六花」と「白衣&黒衣」はあまり関係がなかった記憶があります)
■ クトゥルフ神話用語の抜き出し
いくつかネタバレぎりぎりのラインで一部だけ抜き出してみます。
おそらく、このブログに訪れるようなクトゥルフ神話マニアさんたちは、以下の用語を見て大興奮していただけるかと(笑)
なお、本編には、これら以外にも沢山のクトゥルー神話イベントや台詞があります。
【小夜音】
「水逆谷【みさかだに】大学…と読むそうです。上越の方にある宗教系私大で、ここの理事の一人として疋田泳堂博士の名前がありました」
【小夜音】
「『あなたの推測通り、このデータには魔術レベルに於ける変換が行われており、その研究内容に関して、おそらくは古代冥王星に於いて鍛造されたと云われている未知の金属を用いた…』なんですの? これは」
【圭】
「『深海に仕える者』【アビッサル】というのはね、とある邪教集団の信徒を指す言葉です……水蛇の王とやら云う邪神を奉っているそうです」
【伊織】
「こう云うのはどうだろう…先住種族には、肉体的に高度な『次元間を渡航する能力』が備わっていた」
【小夜音】
「またこの年、最初の散花蝕が…当時は多重次元災害と呼ばれていたのですが──発生しました。アメリカ合衆国マサチューセッツ州、エセックス郡のセイラムという街でした」
【小夜音】
「ええと…九頭竜信仰のことでしょうか? 水の竜神を祀るものですが」
【女】
「……見つけたわ。あなた達が『銀の回路の鍵』なのね?」
【?】
「『千の貌持つ姿、総て一の我なり…一の我、千の貌持つものなり……』」(※1)
目の見えない私が…いいえ、もし目が見えていたら、恐らく目が潰れてしまったに違いありません…そう思わせるに充分な「感覚」。違和感などという言葉では云い表せない、壮絶な違和。
きっともし見ることがあるとすれば、まるで異次元の色彩としか形容できないような、そんな風景が拡がっていることでしょう。
※1 ニャル様はホント何処にでも現れますね……(笑)
■ ライターの嵩夜あやさん
ふと気になって嵩夜あやさんのHPを覗くと、“ミスカトニック大学附属女子高等学校寄宿寮”なんて小説作品があるじゃないですか! クトゥルフネタで、百合ですか!(未完っぽいですが……)
ここまでお好きなら、そりゃあ「終末少女幻想アリスマチック」みたいな作品が生まれますよ……!
(ちなみに、百合の方では「処女はお姉さまに恋してる」を書かれています)
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■ まとめ
この作品、見事なまでにクトゥルー神話系の作品なんですよ!
ライターさんのクトゥルー神話造詣がもの凄く、単純な神話用語をそのまま使わずに、いくつものオリジナルな訳を創り出しています。『深海に仕える者【アビッサル】』や『ダゴン“秘儀”教団』なんてすばらしすぎます! 作品のために用語を調べ、「The Esoteric Order of Dagon」をご自身で訳した結果だと推測できますしね!
ともあれ、無茶苦茶オススメです!
ネタバレになるので言えませんが、ネット上の情報が何処で漏れたとか、アザトースの解釈の仕方とか、神話マニアが感涙できる小ネタ、設定、シチュエーションが満載なのです! ホントずっとニヤニヤしながらクトゥルフ神話用語を追いかけられる作品。ここまで用語の解釈が楽しいのは、他に例がないくらい。